「からだは全体で一つのもの」と考え、からだの歪みを整えることを目的にした施術を行っております。施術は『ディスポーサブル鍼』・『指圧、ストレッチ、徒手矯正法などの手技療法』・『カッサ、テイ鍼(刺さない鍼)』・『テーピング』などを様々な道具と技術を組み合わせて行っております。「一つの手段に固執せず、効くものはなんでも使う」という方針です。お灸は現在休止中ですが、以前は『花田の灸(施術者の母校に伝わる独自の灸法)・知熱灸・棒灸、せんねん灸』など多様な種類を使用しておりました。
当院施術者は「はり師」・「きゅう師」・「あん摩マッサージ指圧師」の三つの国家資格を有しており、解剖学・生理学・臨床医学総論/各論など現代医学の基本的な教育を受けております。しかし現代医学に関しましては「医師」というスペシャリストがおりますので、現代医学的見地からのからだへのアプローチは医師がするのがベストだと考えます。そこで当院ではいわゆる東洋的身体観、健康法を研究し、現代医学とはまた少し違った見地からのからだへのアプローチを大事にしております。施術者自身が10代から武術の稽古を始め、その過程で呼吸法・気功法も学び、更には禊や禅、瞑想も体験して来ております。また世界の多くの宗教は「病を治癒させた奇跡」のエピソードを有しておりますが、そのようなものにも関心を持っております(これはおそらく催眠や心理学の領域になってくるだろうと思われます)。
施術は主訴(肩こり、腰痛など一番気になっている症状。複数あっても構いません)をヒヤリングし、主訴が起きている原因を遡って考え、メニューを組み立てます。施術の効果を測るために途中で首・手・足・脈の状態を繰り返しチェックします。首と脈は鍼灸で大事とされるチェックポイント、手と足は当院独自のチェックポイントです。この4点の状態が全て整っているからだは「非常に良い」状態と言えます。この4点の状態を整えることが施術の大きな指針になります。
また「主訴のある局所への施術」と「全身を調整する施術」を同時進行で行います(詳しくは「からだの故障の原因 ハード系とソフト系」をご参照ください)。歪みのあるからだは筋肉を固めて(凝らせて)無理矢理バランスを取っている状態なのですが、歪みが無くなると筋肉を固めるという身体的なストレスから解放されます。このストレスから解放されリラックス状態になったとき、普段は感じることのない感覚が生じます。主訴の軽減や消失以外に「からだが伸びる感じ」「下半身がどっしりして上半身が軽く浮き上がるような感覚」や「からだの中を何かが流れる感じ」がする方もおられます。昔の人はこのような感覚を「気が流れる」と表現したのかも知れません。多彩な道具と独自のアプローチで全身を整体することでからだの感覚が変わることも、当院の施術の大きな特徴になっております。
施術の大きな流れとしましては、全身調整を行いつつ同時進行で主訴に関連する局所の施術をするかたちになります。
まず問診で主訴をうかがいまして、症状によりますがほとんどの場合、最初は仰向けになっていただき手・足・お腹の施術から始めます。手・足には全身を整える効果のある重要なツボが沢山あります。また「お腹はからだの根っこ」「お腹から手・足・頭が生えている」という当院の身体観に基づき、お腹の変化はとても重視しております。手・足・お腹への施術は本治法という全身調整の施術になります。
施術では指圧を多用しますが、指圧は施術法であり同時に詳しい触診も兼ねます。まず指圧をし、気になったポイントには鍼を打ちます。その後、再度指圧して鍼の効果を確認いたします。この様に指圧→鍼→指圧→鍼…という流れで施術を進めて行きます。必要に応じてカッサやテーピングも使いますし、ストレッチなども行います。
仰向けの次は側臥になっていただきまして、やはり指圧→鍼→…と施術を行います。左右それぞれの側臥で主訴のある肩・腰・膝などの局所の施術を集中的に行いつつ、脇や肋骨の隙間など隠れてしまいがちな箇所への施術を行います。肩こり・腰痛にはこの脇の施術が大事になります。側臥は左右行います。
側臥の次はうつ伏せになっていただきます。うつ伏せではここまでに行った施術をまとめるようにして、全身のバランスを整えます。多くの方が腰に「ねじれ」を持ってしまっておりますが、うつ伏せでは主にこの「ねじれ」を修正します。そのためには背中と腰はもちろんですが腕、脇、臀部、脚への施術が重要になります。
うつ伏せの次は再度仰向けになっていただき、施術の仕上げに入ります。お腹がやわらかくなっているか、手・足もやわらかくなっているか、胸が開いているか等をチェックし、必要な場合は更に施術を加えます。それが済みましたら首、頭の施術に入ります。もちろん側臥・うつ伏せでも首・頭への施術は行いますが施術の総まとめとして仰向けで首、頭、目、アゴなどを施術いたします。首と頭の状態が整いましたら、最後に左右の下肢長が整っているかをチェックし、まだズレているようなら修正の処置をします。最後に足と首を軽く牽引して全身の微調整を行います。
その後は起き上がっていただき深呼吸で呼吸の異常の有無を確認し、立位で望診を行ってバランスが回復しているかを確認いたします。それらが全てクリアしたところで脈診おこない、脈が整っていることを確認しまして施術終了となります。
まえじ鍼灸院